遠い太鼓

12月17日(土)

今日は中四国商経学会が開催される。こういったローカルな学会もちょっと困ったなぁ・・と思いながら、なかなか抜けるきっかけもなく、今に至っている。今年は勤務校での開催なので、秋ぐらいからメールの攻勢があり、それに音を上げて、発表することになってしまった。何回も会議に参加するよりは、研究発表をした方がましだろうということで。産地の研究は、やっつけでデータを回したわりには、よい結果が出ていると思う。しかし・・・とにかく忙しい。卒論の山場はまだ先の様子。ふう。

最近の出来事。年末恒例の合同庁舎での仕事。少し慣れてきたかも。幼稚園では、次女の発表会。娘の舞台上での見事なしきりっぷりに驚嘆。外面がいいのは私似か。でも幼稚園の発表会もこれで最後だな。A社での研究成果報告会も無事終える。好評だったようで、社長にもほめてもらう。在外の研究資金もいただけることになった。長い時間掛けた成果が出つつあるようでうれしい。長女と一緒に、親子作文のコンクールで入賞し、表彰式へ。でも出した人は全員賞がもらえるみたい。娘には言えないけど。その後、西宮のU氏宅へ。イギリスの生活についてアドバイスをもらう。1歳のJくんがかわいい。そうそう、学部の内部も割愛で荒れ模様。私の人生にも影響があるかもしれない。


レイモンド・チャンドラー「さよなら、愛しい人」
村上春樹訳で再読。といっても、まだ最後までたどり着かず、ラストシーン手前で止まっている。前に読んだのはいつなのか・・大学生の時だと思うけど、ストーリーについてはほとんど記憶がなかった。次から次へとエピソードが連なるものの、全体の流れがあまり釈然とせず、正直言って捉えどころがない。謎があるのか、ないのか・・??マーロウの生き様だけを味わう本、なのか。まあ、あまりまとまって読む時間がないから、仕方ないのかもしれないけど。

何回目の通読かよくわからない、著者のヨーロッパ放浪記。家にはこの本が3冊ある。最初に読んだのはやはり大学生の時で、この本の影響を受けて、卒業旅行でギリシャに行った。思えば、なかなか恥ずかしいことをしたものである。
この本の冒頭、40歳になる前の著者の感慨が述べられるのだが、私もちょうど同じような歳になっている。そして、来年は私もヨーロッパに向かう。偶然とはいえ、なんだか感慨深い。以前とは本から受ける印象も少し違う感じがある。昔、40歳前というのは、もっと大人な気がしていたけど、いざ自分がその歳になると、まだまだ子供である。当たり前のことなのかもしれないけど。私にとっても、落ち着いていろいろ考えることのできる1年になれば、と思う。

わたしを離さないで

11月18日(水)

11月も半ばを過ぎた。最近はゼミ生25名の卒論指導だけで精一杯。予想はしていたものの,いざその嵐の中に身を置いてみると,かなりしんどい。研究を進める時間は早起きしてもほとんどとれないという状況。今は目の前の仕事をこつこつ片付けていくしかないな。はぁ。

最近の出来事。インドネシアで学会発表。現地の学生とのやりとりが新鮮だった。帰国後,下痢で苦しむ。教員免許更新講習の講師で1日奮闘。ぼちぼちうまくできた。母がやってきて3泊。みんなで小豆島,寒霞渓に行くも,紅葉は全然。でも船に乗ったり,海宝に行ったりして楽しかった。次女の学習机が届く。私はレッツノートを購入。次はカメラだ。

池上彰「そうだったのか!現代史」「そうだったのか!日本現代史」
疲れている時に手に取る本としては,なかなかよい。相変わらずわかりやすいし,勉強になる。でも三宮の東横インに,日本現代史,を忘れてきてしまった。無念・・。

カズオ・イシグロ「私を離さないで」
2冊目のカズオ・イシグロ。最高傑作と名高い一冊だったが,期待通りの出来。すごくよい。インドネシアへの学会発表の時に持って行こうと思っていたが,離陸前に読み終わってしまった。とはいえ,すらすら読める,って本ではないんだけど。
設定はリアルではない。でもその基本的な前提を除けばすごくリアルっていう,この構造。小説の可能性を感じる。例えば,社会運動が盛り上がり,頓挫する,なんていう事態が小説のキーになるなんて,・・・ちょっと信じられない。
こういった小説の書き手が現れて,なおかつ評価されるってことは,社会が大人なんだろうか。日本語の書き手にも,こんなテーマで小説を書ける人がもっと出てこないかな。

「銅メダル英語」をめざせ!

10月17日(月)

後期の授業が始まって2週間ほど。最近、来年度の在外研究の大枠が固まって、ややほっとしている。なんだか慣れない交渉を続けていても、うまく進んでいるのかどうかがわからないので、常にどこかに不安感がある。こうしてある程度話が固まると、その不安感も少し和らいだようだ。なんだか情けない話だけど、寝付きもよくなった。

学生のころは、海外の大学に行こうなんて微塵も考えなかった私のこと。この歳になったって、やはりこの類のことがそれほど得意とは思えない。はっきり行って、苦手な部類だろう。常に過大な不安感があるわけではないのだけど、微妙で、漠然とした不安感が頭の片隅から離れない。そんな感じが、自分を不安定にしてきた気がする。

とはいえ、後はビザさえうまくとれれば・・・というところまできた。こんな感じで、あと半年も過ぎていくんだろうな。少しは楽しみながらできるといいけど。

以下、読書メモ。

池上彰「そうだったのか!現代史」
私にとっては2冊目の「そうだったのか」シリーズ。相変わらず読みやすい。教科書と何が違うのだろう・・・。20世紀の前半は世界大戦、後半は冷戦、という世界の流れの中で、その中心にあるのは共産主義だった、ということがよくわかる。知っている話もあるけど、詳細は知らない話が大半。現代という時代が、いかに血塗られているかを再認識させられる。

浅羽通明「アナーキズム」
普段なら多分読まないであろう、アナーキズム思想の話。確か、宮崎哲弥氏のこの本にレビューがあって、ちょっと買ってみたんだな。アナーキズムの本質は、最初の章に集約されている。アナーキズムの一方の極は「行動的アナーキズム」、つまり、一切の権力、強制の廃絶、個人の自由の完全な実現を目指す。他方の極は「啓蒙的アナーキズム」、つまり、ジョンレノンの「イマジン」のように、反戦平和を祈願する善男善女の夢想。アナーキズムが、近代の原理主義、という表現もうなずける。

古賀茂明「官僚の責任」
最近、経済産業省を辞職した元官僚(この本の執筆時はまだ官僚だった)の著書の新書版。官僚の思考パターンが説明されており、勉強になる。ただ、官僚の思考が「なぜそうなるのか」については、やや消化不良気味。また今後のあるべき施策については、この著者の価値観が前提として議論されるようなところがあり、そんな簡単に結論が出るのなら、苦労はしないけどな・・と感じさせるところもある。

林則行「『銅メダル英語』をめざせ」
著者は投資ファンドのファンドマネージャー。米国のMBAを出て、現在は「金メダル英語」を使いこなすが、以前は英語が嫌いで、その習得に試行錯誤を繰り返してきた、とのこと。英語嫌いから発想した英語習得法、ということだが、その内容はかなり参考になった。一番のメッセージは、「目指す英語によって、学習法は違う」ということ。まずは、銅メダル英語を目指し、簡単なフレーズを、日々の生活の中で使えるようになるようにスピーキングを強化。その後は、銀メダルならリーディング、金メダルならリスニングの強化へと移る。至極真っ当で、長期的な英語学習を考え得た際には、参考になることが多かったと思う。

ゴールデンスランバー

9月14日(水)

イギリスから戻って、研究会に2つ参加。時間的にやや余裕があるのだが、落ち着くような、逆にいろいろ考えすぎてしまうような、微妙な日々。出張先に携帯を忘れ、久しぶりに手帳を見ながら公衆電話を使ったら、今度はそこに手帳を置き忘れてしまうという、さんざんなミスもあり。無事手帳は発見されたけど、なんやかやとミスが多い。

最近のよかったこと。イギリス滞在が無事に終わる。頼りになる人たちと知り合いになることができた。帰国後の研究会で無事に発表を終えた。広島「八昌」のお好み焼きは、別格にうまかった。長女が県の俳句コンテストで優秀賞を受賞。それから、・・・みんな元気^^

「ゴールデンスランバー」を読了。数年前の本屋大賞受賞作。伊坂氏の本は、おそらく3冊目かな。首相殺人の容疑者にされた主人公の逃走をめぐるストーリーがメイン。著者も述べているように、わりと典型的な設定の中で話が進み、後になるほど、話に勢いが出てくる。とても面白く読むことができた。

ただ、「日の名残」を読んだ後ということもあるけど、そこで語られる人々の感情やこの世の中のとらえ方に、どっぷりつかることができない。ややテーマが軽いように感じてしまう。おもしろくはあるんだけど、本で語る必然性がもっと感じられるといいな・・・というのが正直なところ。個人的には「ラッシュライフ」の方が好きかも。



日の名残

8月31日(水)

引き続き、イギリスに滞在中。一昨日から、ニューポート・パグネル、という街にいる。来年度滞在予定のクランフィールド大学の近郊で、かつてこの大学にいた私の共同研究者が住んでいた町である。人々は穏やかで、静か。よい環境で、とてもリラックスできる。ロンドンとは異質の世界。昨日はシティセンターの裏手にある草原を1時間ぐらい歩いた。まさにイギリス、という感じの場所。



もちろん、大学にも視察を兼ねたミーティングで訪問。大学は新学期。中国人が多く目についた印象。




さて、渡航前、イギリスにどの本を持って行こうか、と考えた時に、ふと頭に浮かんだのが、カズオ・イシグロの名前だった。日本生まれだが、すぐに渡英し、英語で小説を書く。ブッカー賞受賞者で、村上春樹さんが新作を心待ちにする作家。イギリスに向けた飛行機の中で読む本として最適である。

持ってきたのは「日の名残」。第二次大戦後、英国で執事として働くスティーブンスの1人語りで話しは進む。執事としての仕事に情熱を傾け、かたくなに執事の「品格」を守ろうとするスティーブンスの仕事とそれに絡む人々との関係が淡々と語られる。前半の中心は、同じく執事であった父親との話。そして、女中頭であるミス・ケントンとのほのかな恋愛の話が最後の盛り上がりをつくる。執事の品格を守ることが彼の人生であるが故に、尊敬する父や、思いを寄せてくれる女性に人間らしく対応できないスティーブンス。悲しみがじわじわと迫ってくる、不思議な感慨のする小説である。

ただ、主人公のまじめさ、堅さは、どこか私に重なるようなところがある。おそらく小心で、大胆に自分を楽しませることができないんだけど、堅い仕事を理由に、それを正当化するような・・・そんな感じ。でも、それも悪くないんじゃないかな・・と思う自分がいたりして、難しいところである。

イギリス滞在もあと1日。台風が迫る日本に、ちゃんと帰れるだろうか・・・心配。


ロンドン街歩き

8月28日(日)

イギリスに来ている。来年予定している在外研究の下見のために、滞在予定の大学を訪れたり、家を見つけたい街の様子を見たりする予定で5日間の滞在。イギリスは初めての訪問。

昨日と一昨日は、ロンドンに滞在した。主な目的は、小売店舗の視察。できる限りの小売施設を回ろうと、地下鉄を乗り回しながら、ぐるぐると街を歩いた。2日で3万歩も歩いたのは、この携帯付属の万歩計を使い始めてからの最高値。足がすこぶる痛い。

ロンドンの街を歩いていると、いろいろなことを考えさせられる。ソウルや上海も興味深いけど、ロンドンも同じように興味深い。今日はホテル近くのケンジントン・パークを歩いて、大都会の真ん中にこれだけ大きな公園があることに、やはり驚嘆。皇居も大きいけど、この公園は一般の人が自由に入れるところが違う。日曜日だったせいか、犬の散歩をする人、ジョギングする人が多く見られた。散歩しててても、どうも風景から浮いている気がして、やや落ち着かないけど、気持ちよい散策ができる。


ケンジントン・パーク

小売施設の方もなかなか。老舗百貨店・ハロッズも、いろいろ探せば語り尽くされているのだろうけど、すごく印象に残った。この大都会の真ん中で、未だに家具や家電を売っている百貨店があるとは・・・。おそらく、郊外の巨大家電量販とか、家具のディスカウンターなどが未発達なんだろうけど、それでもあの光景は印象的だった。写真は、もう1つの老舗百貨店、リバティ。こちらは、百貨店というより、品のいいファッションビルみたい。たぶんフロアは、109の半分ぐらいかな。


リバティ

老舗の百貨店の戦略としては、「観光客用の購買の場所」として確立しているところが共通しているよう。これは日本の百貨店は学ぶところが多いのではないかと思う。大阪・梅田の百貨店なんか、あれだけ集積させて同質的な競争をしているのだから、1店でもグローバルに集まる観光客に向けたフロアを作ればいいのに、と思う。日本伝統の織物、小物、盆栽なんかを集めたフロアを作れば、海外のお客さんは大喜びだと思う。

それに、おもちゃの店、ハムレイズ(Hamleys)の店内演出もよかった。多数の店員が、フロアでおもちゃの実演をして、子供を楽しませると同時に、おもちゃの魅力を伝えるマーケティングもおこなっている。ディスニーランドみたいな楽しい雰囲気があるし。あれは日本でも受けるだろうし、日本人はあの手のサービス、得意だと思うんだけど。

その他にも、セビル・ロウ(オーダーメイドのスーツの聖地)やイギリスおみやげの専門店(あんなのが東京や高松にあってもいいね)なんかも回って、いろいろ勉強になった。でも、一言書いておくとすると、ロンドン街歩きは、仕事的には興味深いんだけど、個人的にはあまり「おもしろい」とは感じない、ということ。この歳になって1人で異国の街を歩いていても、心の底からfunnyとしての「おもしろさ」は感じないんですね。家族や友達と語り合うことのできない異国の街は、そういう意味で、どうというところのない場所である。寂しいような、幸せなような、複雑な心持ちのする異国の街歩きだった。

英字新聞1分間リーディング

7月30日(日)

Facebookを初めて,2ヶ月ぐらい。あまり自分の情報を出すこともないし,友達もあまり増えないんだけど,皆さんのつぶやきや写真を見て,ぼちぼち楽しんでいる。仕組みや特徴は,おおよそ分かった気がする。

Facebookを見ていてしみじみ思うのは,人それぞれに日常があり,交友関係があり,喜怒哀楽があるのだな・・・ということ。天気のよい日に飛行機に乗ると,地上が見渡せて,「この広い世界の中に,ものすごく多くの人々の生活があるのだな」と漠然と思うことがあるけど,Facebookでは,その一部を具体的に見せられている感じ。世界では1人1人の生活の中で,ほんっっっっとにいろんなことが起こっているのだ。当たり前だけど。ただ,それらを見ている私自身は,気分的に軽く落ち込むことが多いような気がする。私と違ってアクティブな人たちの生活が垣間見えるからだろうな。

ようやく授業も終わり,生活は落ち着いてきている。散漫な読書が続いていたが,少しペースも変わってくるかもしれない。

ホーマン由佳「英字新聞1分間リーディング vol.1,vol.2」
THE NIKKEI WEEKLYの中から選ばれた記事の,記事タイトルと冒頭1パラグラフだけが抜粋されており,主要な単語の意味と本文訳が載っている。非常に簡単な構成であるが,英語の語彙を増やすのに最適だ。最初はわからない単語が多いが,徐々に既知の単語が増加してきて,確実に語彙が増えていくのがわかる。今はvol.2の記事を1日2つぺースで読み,すでに読了したvol.1の記事をトイレで読み返して,復習している。何回か同じ単語を目にしていくうちに自然と覚えてしまう,というのが,英単語記憶の王道なのだと実感する。

大竹文雄「競争と公平感」
大阪大学の有名な経済学者が,経済学の考え方を一般向けに解説した読み物。行動経済学が専門だと思うが,その項が一番充実していると思う。はっきり言って経済学がいまいち理解できていない私のような人間にとってはよい本だが,議論はもう少し掘り下げてもいいかな,とも思う。

新谷弘実「病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-」
牛乳は健康によくない,と言って,業界を騒がせた本。著者は実績のあるお医者さんのようだが,本を読んだ感じは,なんだか怪しさがぬぐえない。ミラクル・エンザイムって,おそらく学術用語じゃないだろうし,ネーミングとしてどうか・・・。経歴から見ると,腸をよく見ているってことだから,腸に関することは信用してもいいのか?レビューを見ても,そんな指摘が多い様子。とりあえず,長年食べていたヨーグルトは,食べていても胃腸の調子が改善されないので,著者の言うようにやめてみた。今のところ,特に腸の状態に変化はなし。うむむ。