旅立ちの前に

3月26日(月)

今日は渡英前、最後の大学勤務。本当は、ブログを書いている時間なんてなかったはずなんだけど、事務の人が渡航後にメールで送ってくれるはずの資料を、急いで作って、事前にくれる、といっているので、好意に甘えて、待っていることにした。15時からは、通勤に使っていた愛車、プレオを売りにいく。その後は、家で荷造りの続き。準備もいよいよ大詰め。

不安だらけ、といえば、そんな気もするし、 落ち着いているといえば、 そんな気もする。1つ言えるのは、今までにはないような感覚があること。目の前に、おそらくすごく苦労するだろうな・・という近未来があって、でもなんとかそれに落ち着いてそれに向かっていく感覚。そうか、長期の海外渡航の前ってのは、こんな感じになるのだなぁ。

しかし、在外研究というのは、不思議な気がする。結構多くの研究者が海外に行くし、それ自体は全然珍しいことではない。でも、これ行くとなると、結構大変ですぜ、旦那。本当に、みんなこんな大変なことをクリアしながら、行っているんだろうか?行っているんだろうな。だから不思議。

正直なところ、程度の差こそあれ、みんな行くって宣言してから、「なんでそんなこと言ってしまったんだろう」って後悔するタイミングがあるんじゃないだろうか??

でも、それでも行く人がいるのは、やはり苦労を補ってあまりある楽しみがあるからなんだろうか。そう信じて、明日の飛行機に乗ります。

では、行ってきます。


いつか大人になる日まで

2月23日(木)

今日の朝、ようやく在外研究用のvisaが届いた。こんなにほっとすることってないな・・というくらいの安堵感。大阪でのvisa申請の時に、ちょっとトラブル(というか、私の完全なミスだけど)があって、なんとかとりつくろって申請。かなりのショックを受けた。詳細はまだここに書く精神的余裕がない^^ その後に風邪で寝込んで、さらに、左目にもウィルスが入って、炎症を起こして・・・ショックの大きさが体に表れるところが、私らしい。

でも、無事にvisaを取得できて、エアチケットも確保できたので、これからは前向きにいろいろ計画を進められそうである。まずは一山越えた・・・か・・・。在外研究の間、あとどのくらいの山があるのかわからないのだけど。これは論文書き(というか、博士論文書き)にも似ているかも。

少し時間的に(精神的に?)余裕ができてきたので、ぼちぼちと本を読む時間が増えてきた。まあ、軽い本ばかりではあるけど、やはり本が読めるというのはいいものだな、と思ったりして。

柴門ふみ「いつか大人になる日まで」
visa申請の翌日、妻の実家の誰も見向きしない本棚でたまたま見つけた。漫画「あすなろ白書」の掛居保、というキャラクターの幼少時代のストーリーを小説としてまとめたもの。実は、大学生のころ、「あすなろ白書」を夢中になって読んでいたころがあって、著者と同様に、掛居君のキャラクターには、私も思い入れがあったのだ。こんなところで出会うとは、掛居君。
母子家庭に育ち、自分の想いを素直に表現しないことを条件づけられて育つ掛居君の幼少時代。掛居君は家庭の環境がつらすぎてそうなるんだけど、私が若い頃感じていたのは、臆病であるが故に、「いい子」であるというスタンダートから逃れられず、自分を表現できないもどかしさ、だったと思う。なんだか掛居君に似たところを感じて、当時一生懸命「あすなろ白書」を読んでいた記憶がある。
やはり漫画を専門とする人の書いたものなので、小説としての完成度は今ひとつかなと感じる。でも、掛居君は魅力的。著者と同じように、世間でも掛居君が気になった人は多かったのだろうな。偶然、この本に出会えて、若い時の気持ちがよみがえった気がした。

村上春樹「やがて哀しき外国語」
出版直後に読んで以来の再読。やはり自分が外国に行くことになって、ちょっと気になり、熱のある頭で読んだ。今読むと、1990年代の時代の雰囲気が感じられておもしろいな、思う。湾岸戦争のころは、私はなんと高校生!だったのだな。

村上春樹「おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2 」
昨年の夏前ぐらいの出版だと思う。すぐに買ったはずだけど、そのときはなんだかトーンが合わなくて、最初の数ページを読んで置いておいた。ちょっと前にふと目について読み出すと・・・おもしろいこと。いくつかのストーリーは声を出して笑ってしまった。なんの話だったか、今は思い出せないけど・・・でも、そのぐらいの軽い感じがこの本の持ち味ですね。イラストを描く大橋歩さんが、巻末に村上さんとの仕事がいかに特別かって話を書いていて、とてもよくわかる気がした。「なんであなたがっ」ていわれるのが、逆にうれしくなるぐらい、特別な作家、ってことですよね。

中山元「フーコー入門」
フーコーの概説書。誰でもわかるってほど簡単ではないけど、とてもよい本。私の師匠が昔から「監獄の誕生」という本の話をよくすることがあって、なんだかよくわからなかったんだけど、今回その謎が解けた。囚人は監獄で監視されているうちに、自分から監視の目を意識した行動を取り出すという、フーコーの権力への洞察。こんどは、実際に「監獄の誕生」を読んでみよう。

ヴェニスの商人

2月1日(水)

久しぶりに予定が入っていない午後。昨日が卒論提出日で、卒論指導は一段落・・・、ではなくて、一時休憩。人数が多い分指導も不十分で、再提出を指示しなければならない学生が続出しそう。まあ2月も引き続きやるか・・・。

一昨日にはwebでvisa申請の書類を作成し、ようやく申請センターのアポイントをとった。予定より1ヶ月も遅れた・・・しかし、まあ、書類作成の面倒なこと。5時間かかって、終わったのは深夜2時半。最近は学会報告前でもこんな時間まで起きてないんだけど。ほんと、無事許可されることを祈るのみ。その前の週は、講演会開催の仕切りをやり、数日後には東京、神戸と研究会周り。よく風邪を引かなかったなぁ。東京は寒かったけど、研究会は楽しかった。徐々に研究会らしくなってきたような。次回は参加が微妙だけど、福岡、行きたいなぁ。

しかし、寂しい読書生活が続いています・・・。

池上彰「伝える力」
疲れている時には、池上さんの本、ということで、手に取った。めずらしく、パワーシティの宮脇書店で購入。内容は、この類の本でいえばごくごく初歩的で、一般的な内容かなと思う。ただ、読んでいるうちに、池上さんって会って話すと結構厳しい人なんじゃないかな、と感じた。やさしくてニコニコしてるイメージだったけど、上司になれば、結構厳しく指導されるのではないかなぁ。ダメな人にははっきり言いそう。やっぱりよい上司ってことか。

ヴェニスの商人
実はシェークスピアの本は、「ハムレット」と「リア王」しか読んだことがなかった。イギリスに行くんだし、と思って、手に取ってみる。商業を研究しているんだしなぁ(あまり関係ないけど)ということで、第1弾はこれ。短編で手軽だし、内容も特に深いってことはなくて、なんだか落語みたいな印象かな、と思う。「リア王」の印象が強かったので、ちょっと意外。「オセロ」と「マクベス」は渡航までに読んでおこう。

渡航するととりあえず本を読む時間はあるかな、と思ってたけど、よく考えたら、あまりプライベートの本はもっていけないんだな、と気づく。ipadを買うと、少しはいいかなぁ。

年のはじめに

1月5日(木)

2012年がスタートし、今日は仕事始め。教授会だと思っていたら、来週だった。というわけで、会議を2つほどこなした後に、ぽかっと時間が空いた。やるべきことは山積みだけど、つかの間の休憩。

年末は25人いるゼミ4年生を3つに分けて、3つの忘年会に参加。それぞれに好みがあり、楽しみがあり、不満があり、苦悩がある。少しでも彼/彼女らの手伝いができればいいのだけど。最後の忘年会が終わると、二日酔いの体を引きずりながら関西へ。30日には神戸で研究会メンバーと家族でランチ。楽しい時間はあっという間に過ぎる。来年はスイスで研究会を開催予定。こちらも楽しみ。その後、妻の実家に向かい、31日にはケース原稿を1つアップ。やれやれ。その後、義理のお父さんの中古パソコンのセットアップに挑んで、新年を向かえる。苦心しながらも(最初はネットも繋がらなかった)、なんとかSkypeのセットアップに成功。ほっ。お父さんには、一眼レフのカメラを貸してもらった。ありがたい。その後は三宮と近くのSCで買い物、買い物・・・。イギリス行きに向けて買う物が多いのだけど、いちいち買うのに時間のかかること・・・。今週末誕生日を迎える長女へのプレゼントに、ピンクの電子辞書も購入。早速渡したら、とても喜んで、ずっと眺めていた。ちょっと高くついたけど、ずっと使えるものだし、まあよし。ただ、来月のカードの請求が、ちょっと怖い^^

というわけで、新年になり、イギリスに出発するまであと3ヶ月となった。ぼちぼち準備は進むものの、まだなんとなく実感がわかないような、でも怖いような、楽しみなような、変な気持。研究については、やる時間さえ確保できれば、それなりに進み、頭は割と冴えている気がする。徐々に気分を盛り上げて、ゆっくりピークをつくらないと。

いずれにしても、チャレンジできる、ってのは幸せなこと。良い年にしたい。


遠い太鼓

12月17日(土)

今日は中四国商経学会が開催される。こういったローカルな学会もちょっと困ったなぁ・・と思いながら、なかなか抜けるきっかけもなく、今に至っている。今年は勤務校での開催なので、秋ぐらいからメールの攻勢があり、それに音を上げて、発表することになってしまった。何回も会議に参加するよりは、研究発表をした方がましだろうということで。産地の研究は、やっつけでデータを回したわりには、よい結果が出ていると思う。しかし・・・とにかく忙しい。卒論の山場はまだ先の様子。ふう。

最近の出来事。年末恒例の合同庁舎での仕事。少し慣れてきたかも。幼稚園では、次女の発表会。娘の舞台上での見事なしきりっぷりに驚嘆。外面がいいのは私似か。でも幼稚園の発表会もこれで最後だな。A社での研究成果報告会も無事終える。好評だったようで、社長にもほめてもらう。在外の研究資金もいただけることになった。長い時間掛けた成果が出つつあるようでうれしい。長女と一緒に、親子作文のコンクールで入賞し、表彰式へ。でも出した人は全員賞がもらえるみたい。娘には言えないけど。その後、西宮のU氏宅へ。イギリスの生活についてアドバイスをもらう。1歳のJくんがかわいい。そうそう、学部の内部も割愛で荒れ模様。私の人生にも影響があるかもしれない。


レイモンド・チャンドラー「さよなら、愛しい人」
村上春樹訳で再読。といっても、まだ最後までたどり着かず、ラストシーン手前で止まっている。前に読んだのはいつなのか・・大学生の時だと思うけど、ストーリーについてはほとんど記憶がなかった。次から次へとエピソードが連なるものの、全体の流れがあまり釈然とせず、正直言って捉えどころがない。謎があるのか、ないのか・・??マーロウの生き様だけを味わう本、なのか。まあ、あまりまとまって読む時間がないから、仕方ないのかもしれないけど。

何回目の通読かよくわからない、著者のヨーロッパ放浪記。家にはこの本が3冊ある。最初に読んだのはやはり大学生の時で、この本の影響を受けて、卒業旅行でギリシャに行った。思えば、なかなか恥ずかしいことをしたものである。
この本の冒頭、40歳になる前の著者の感慨が述べられるのだが、私もちょうど同じような歳になっている。そして、来年は私もヨーロッパに向かう。偶然とはいえ、なんだか感慨深い。以前とは本から受ける印象も少し違う感じがある。昔、40歳前というのは、もっと大人な気がしていたけど、いざ自分がその歳になると、まだまだ子供である。当たり前のことなのかもしれないけど。私にとっても、落ち着いていろいろ考えることのできる1年になれば、と思う。

わたしを離さないで

11月18日(水)

11月も半ばを過ぎた。最近はゼミ生25名の卒論指導だけで精一杯。予想はしていたものの,いざその嵐の中に身を置いてみると,かなりしんどい。研究を進める時間は早起きしてもほとんどとれないという状況。今は目の前の仕事をこつこつ片付けていくしかないな。はぁ。

最近の出来事。インドネシアで学会発表。現地の学生とのやりとりが新鮮だった。帰国後,下痢で苦しむ。教員免許更新講習の講師で1日奮闘。ぼちぼちうまくできた。母がやってきて3泊。みんなで小豆島,寒霞渓に行くも,紅葉は全然。でも船に乗ったり,海宝に行ったりして楽しかった。次女の学習机が届く。私はレッツノートを購入。次はカメラだ。

池上彰「そうだったのか!現代史」「そうだったのか!日本現代史」
疲れている時に手に取る本としては,なかなかよい。相変わらずわかりやすいし,勉強になる。でも三宮の東横インに,日本現代史,を忘れてきてしまった。無念・・。

カズオ・イシグロ「私を離さないで」
2冊目のカズオ・イシグロ。最高傑作と名高い一冊だったが,期待通りの出来。すごくよい。インドネシアへの学会発表の時に持って行こうと思っていたが,離陸前に読み終わってしまった。とはいえ,すらすら読める,って本ではないんだけど。
設定はリアルではない。でもその基本的な前提を除けばすごくリアルっていう,この構造。小説の可能性を感じる。例えば,社会運動が盛り上がり,頓挫する,なんていう事態が小説のキーになるなんて,・・・ちょっと信じられない。
こういった小説の書き手が現れて,なおかつ評価されるってことは,社会が大人なんだろうか。日本語の書き手にも,こんなテーマで小説を書ける人がもっと出てこないかな。

「銅メダル英語」をめざせ!

10月17日(月)

後期の授業が始まって2週間ほど。最近、来年度の在外研究の大枠が固まって、ややほっとしている。なんだか慣れない交渉を続けていても、うまく進んでいるのかどうかがわからないので、常にどこかに不安感がある。こうしてある程度話が固まると、その不安感も少し和らいだようだ。なんだか情けない話だけど、寝付きもよくなった。

学生のころは、海外の大学に行こうなんて微塵も考えなかった私のこと。この歳になったって、やはりこの類のことがそれほど得意とは思えない。はっきり行って、苦手な部類だろう。常に過大な不安感があるわけではないのだけど、微妙で、漠然とした不安感が頭の片隅から離れない。そんな感じが、自分を不安定にしてきた気がする。

とはいえ、後はビザさえうまくとれれば・・・というところまできた。こんな感じで、あと半年も過ぎていくんだろうな。少しは楽しみながらできるといいけど。

以下、読書メモ。

池上彰「そうだったのか!現代史」
私にとっては2冊目の「そうだったのか」シリーズ。相変わらず読みやすい。教科書と何が違うのだろう・・・。20世紀の前半は世界大戦、後半は冷戦、という世界の流れの中で、その中心にあるのは共産主義だった、ということがよくわかる。知っている話もあるけど、詳細は知らない話が大半。現代という時代が、いかに血塗られているかを再認識させられる。

浅羽通明「アナーキズム」
普段なら多分読まないであろう、アナーキズム思想の話。確か、宮崎哲弥氏のこの本にレビューがあって、ちょっと買ってみたんだな。アナーキズムの本質は、最初の章に集約されている。アナーキズムの一方の極は「行動的アナーキズム」、つまり、一切の権力、強制の廃絶、個人の自由の完全な実現を目指す。他方の極は「啓蒙的アナーキズム」、つまり、ジョンレノンの「イマジン」のように、反戦平和を祈願する善男善女の夢想。アナーキズムが、近代の原理主義、という表現もうなずける。

古賀茂明「官僚の責任」
最近、経済産業省を辞職した元官僚(この本の執筆時はまだ官僚だった)の著書の新書版。官僚の思考パターンが説明されており、勉強になる。ただ、官僚の思考が「なぜそうなるのか」については、やや消化不良気味。また今後のあるべき施策については、この著者の価値観が前提として議論されるようなところがあり、そんな簡単に結論が出るのなら、苦労はしないけどな・・と感じさせるところもある。

林則行「『銅メダル英語』をめざせ」
著者は投資ファンドのファンドマネージャー。米国のMBAを出て、現在は「金メダル英語」を使いこなすが、以前は英語が嫌いで、その習得に試行錯誤を繰り返してきた、とのこと。英語嫌いから発想した英語習得法、ということだが、その内容はかなり参考になった。一番のメッセージは、「目指す英語によって、学習法は違う」ということ。まずは、銅メダル英語を目指し、簡単なフレーズを、日々の生活の中で使えるようになるようにスピーキングを強化。その後は、銀メダルならリーディング、金メダルならリスニングの強化へと移る。至極真っ当で、長期的な英語学習を考え得た際には、参考になることが多かったと思う。