世界は分けてもわからない

6月15日(火)

W杯対カメルーン戦勝利!素直に喜ぼう!

福岡伸一「世界は分けてもわからない」前書に続いて,興味深い科学エッセイ。主に体内タンパク質の研究について語られる。そして,たまに研究者の暗部について。

著者が一流の研究者でありながら,一流の語り手であることが随所からわかる。伏線の効かせ方は,研究者とは思えないほど。ただ前書の方が読ませる力は強い。今回はおもしろいな~・・という感じで淡々と進む印象である。

「・・・この世界のあらゆる因子は,互いを他を律し,あるいは相補している。物質・エネルギー・情報をやりとりしている。そのやりとりには,ある瞬間だけを捉えてみると,供し手と受け手があるように見える。しかしその微分を解き,次の瞬間を見ると,原因と結果は逆転している。あるいは,また別の平衡を求めて動いている。つまり,この世界には,ほんとうの意味での因果関係と呼ぶべきものもまた存在しない。 
世界は分けないことにはわからない。しかし,世界は分けてもわからないのである。」

細かいコメントを差し挟むほどの力量はない。が,う~んと唸らされる言葉である。う~ん・・・。

ストーリーとしての競争戦略

6月14日(月)

スケジュールが詰まっていて,ずいぶんと疲れている感じがする。少し仕事のペースを抑えたいところだけれども・・・,うまく行くかどうか。

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楠木建「ストーリーとしての競争戦略」。ずいぶんと売れているようであるが,それも納得の内容であった。まず,これまでの戦略論の内容整理がよい。わかりやすい。業界構造の話と戦略論としてのポジショニングの話は,いままでになく理解しやすかった。また,クリティカル・コア,という論点は,確かにストーリーとして戦略を理解しないと,うまくつかめないポイントである。スターバックスの例題を自分で解いてみると,直感的にはそれほど重要と思えない「直営」が,クリティカルであることがわかる。自分の解答が本の指摘と一致した時は,電車の中ながら思わずニンマリしてしまった。

この本だけでなく,最近は戦略に関するよい本がどどっと出て,学問的な流れも変わっていくような感じがする。日本の経営学も捨てたものではない(偉そうだけど)。遅れないように,レビューしていきたい。

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同僚の先生が亡くなった。病気の中でお仕事を続けられてきて,ご苦労が多かったと思う。本当にお疲れ様でした,と言いたい。心よりご冥福をお祈りいたします。

一九八四年

6月1日(火)

5月の半ばから始めた早朝のウォーキングが,まだ続いている。自分でもちょっと驚き。今日から6月なのにまだ朝晩は肌寒いので,続けやすいのかもしれない。先週末は学会の全国大会で休めなかったが,比較的元気である。ウォーキングの効果か?

ジョージ・オーウェル「一九八四年」。これほど悲惨で残酷な話は,滅多にお目にかかれない。感情を揺さぶられる,という意味では,本当に名著である。きっかけは,現在売れまくっているこっちの本の第3巻を読む前に,と思ったのはもちろんなのだが,それとの関係を考える,なんてことはどうでもよくなってしまった。また,基本的には共産主義への絶望が背景にあると思うが,それもはっきりいって(今となっては,ということかもしれないが),どうでもいい感じがする。描き出されたストーリーにただただ惹きつけられた。

特にジュリアとの関係を描いたシーンは秀逸である。出会いから関係を結ぶまで。ラストシーンの残酷さ。いずれもすらばらしい。小説の可能性を感じることのできる一冊だと思う。





学会

5月17日(月)

土曜日は久しぶりに学会に参加した。1年ぶりぐらい。MBAが盛んになった影響だろうと思うが,やはり有力な先生方の参加が少ない。活発な議論が展開されるほど,メンツがそろっていない。

とはいえ,報告は十分刺激的であった。以下,内容メモ。

・マーケティング意思決定のための指標をつくる:マーケティングROI
・Cause-related Marketing
・製品とは異なる次元での差別化に挑む:CSRと製品差別化との関連
・ランキンランキン

個人的にも,ちょっとうれしいことがあり,無理して大阪まで行ったかいがあった。今期はちょっとまじめに学会に参加しよう。

マーケティングを学ぶ

5月11日(火)

マーケティングの教科書が出版ラッシュである。皮切りは,高嶋克義・桑原秀史「現代マーケティング論」だったのだろうか。簡単なマーケティングの教科書に対するアンチテーゼであった本書は,もしかしたら,マーケティングの研究者,特に一線の研究者を刺激したのかもしれない(あるいは,偶然かもしれないし,私が最近テキストに興味をもっているからそう見えるのかもしれない)。昨日も池尾恭一他「マーケティング」を献本いただいた。小川孔輔「マーケティング・マネジメント入門」も去年発売されているようだ(まだ未入手だが)。

そんな中の一冊が,石井淳蔵「マーケティングを学ぶ」である。これは,従来型のマーケティングの教科書とずいぶん切り口が違う。もともと,日本のマーケティングの教科書は,トータルで見ると書いてある内容には大きな違いはないのだけれど,細部の用語の使い方や強調点は,教科書によってかなり違う。今回の「マーケティングを学ぶ」は,コンパクトな分,その違いがかなり目につくし,その違いは斬新だと思う。マーケティングという概念で経営現象を切る時の「切り口」が,よりシャープになっている印象がある。

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・大きな構成:①市場志向の戦略づくり,②戦略志向の組織づくり,③顧客との接点のマネジメント,④組織の情報リテラシーを確立する
・市場志向,という概念が全面に出ている
・組織はブランド,という観点から語られている印象
・顧客の接点として,ブランド,営業,チャネルがひとくくりに語られる
・情報リテラシーの概念が中心になり,マーケティング・リサーチという技術論が後退している

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ざっと整理してみると,より実務の現場で重要なマーケティング問題を中心に,議論の再構成がおこなわれた印象である。4Pの切り口は,今日的なマーケティング活動の要請,あるいは重要性とマッチしていないから,(石井先生の見解が正しいかどうかは別として)こういった取り組みがこれからも必要になってくるのだろう。新書とはいえ,もっと勉強したい一冊である。

氷川清話

5月10日(月)

勝部真長「氷川清話 勝海舟語録 付勝海舟伝」を読了。最初は,勝海舟氏の人物に対する評伝が続き特に何の感慨もないが,後半,人生訓のようになって,俄然興味が増す。

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・綽々たる余裕,余裕をもった人間たれ
「おれもこの人間精神上の作用を悟了して,いつもまず勝敗の念を度外に置き,虚心坦懐,事変に処した。それで小にして刺客,乱暴人の厄を免れ,大にして瓦解前後の難局に処して,綽々たる余裕をもった。これひっきょう,剣術と座禅の二道より得来たったたまものであった。」

・坐忘(ざぼう),忘れること
・無用意と根気
「なんでも大胆に,無用意に打ちかからなければならない。・・・世の中の人は,たいてい事業の成功するまでに,はや根気がつきて疲れてしまうから大事ができないのだ。」

・無神経の強さ
・仕事をあせるな
・党派をつくるな,子分をもつな
・要するに処世の秘訣は「誠」の一字だ

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幕末の人物としては,やはり勝が随一か。次は西郷を読もう。



経営の精神

5月9日(日)

ゴールデンウィーク明けの週で,比較的負担は少なかったはずだが,それなりにいろいろ仕事があった。ゼミの予定を考え,非常勤講師の手当に奔走,週末は神戸のMBAに参加。神戸のMBAは思った以上に勉強になっている。やはり,香川にいると,知らぬ間に低刺激の環境に慣れてしまうようだ。

加護野忠男「経営の精神」について,著者の講演会を聞く機会があった。副題は「我々が忘れてしまったものは何か」。経営の精神は,市民精神(勤勉さなど),企業精神(情熱,創造的破壊など),営利精神(合理性,数字へのこだわりなど)からなり,そのバランスが重要ということ。また,今の日本は,そのどれもが歪んでいる,とのメッセージは説得力がある。以下,気になった点,いろいろ。

・元気(企業精神)が不足している。
叱ることの大切さ
正論を吐け
・数値化すること。よい面,悪い面。
・内部統制制度は最悪。自発的な倫理観がなければ,経営はそもそも成り立たない。
・加護野先生は5Sにこだわる。
・経営者の本をもっと読むべき(稲森,永森),経営古典の知識(ウェーバー,ゾンバルト,チャンドラー)
・MBAのあり方:実務家を重用ししすぎる国の方針は誤り