学会

5月17日(月)

土曜日は久しぶりに学会に参加した。1年ぶりぐらい。MBAが盛んになった影響だろうと思うが,やはり有力な先生方の参加が少ない。活発な議論が展開されるほど,メンツがそろっていない。

とはいえ,報告は十分刺激的であった。以下,内容メモ。

・マーケティング意思決定のための指標をつくる:マーケティングROI
・Cause-related Marketing
・製品とは異なる次元での差別化に挑む:CSRと製品差別化との関連
・ランキンランキン

個人的にも,ちょっとうれしいことがあり,無理して大阪まで行ったかいがあった。今期はちょっとまじめに学会に参加しよう。

マーケティングを学ぶ

5月11日(火)

マーケティングの教科書が出版ラッシュである。皮切りは,高嶋克義・桑原秀史「現代マーケティング論」だったのだろうか。簡単なマーケティングの教科書に対するアンチテーゼであった本書は,もしかしたら,マーケティングの研究者,特に一線の研究者を刺激したのかもしれない(あるいは,偶然かもしれないし,私が最近テキストに興味をもっているからそう見えるのかもしれない)。昨日も池尾恭一他「マーケティング」を献本いただいた。小川孔輔「マーケティング・マネジメント入門」も去年発売されているようだ(まだ未入手だが)。

そんな中の一冊が,石井淳蔵「マーケティングを学ぶ」である。これは,従来型のマーケティングの教科書とずいぶん切り口が違う。もともと,日本のマーケティングの教科書は,トータルで見ると書いてある内容には大きな違いはないのだけれど,細部の用語の使い方や強調点は,教科書によってかなり違う。今回の「マーケティングを学ぶ」は,コンパクトな分,その違いがかなり目につくし,その違いは斬新だと思う。マーケティングという概念で経営現象を切る時の「切り口」が,よりシャープになっている印象がある。

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・大きな構成:①市場志向の戦略づくり,②戦略志向の組織づくり,③顧客との接点のマネジメント,④組織の情報リテラシーを確立する
・市場志向,という概念が全面に出ている
・組織はブランド,という観点から語られている印象
・顧客の接点として,ブランド,営業,チャネルがひとくくりに語られる
・情報リテラシーの概念が中心になり,マーケティング・リサーチという技術論が後退している

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ざっと整理してみると,より実務の現場で重要なマーケティング問題を中心に,議論の再構成がおこなわれた印象である。4Pの切り口は,今日的なマーケティング活動の要請,あるいは重要性とマッチしていないから,(石井先生の見解が正しいかどうかは別として)こういった取り組みがこれからも必要になってくるのだろう。新書とはいえ,もっと勉強したい一冊である。

氷川清話

5月10日(月)

勝部真長「氷川清話 勝海舟語録 付勝海舟伝」を読了。最初は,勝海舟氏の人物に対する評伝が続き特に何の感慨もないが,後半,人生訓のようになって,俄然興味が増す。

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・綽々たる余裕,余裕をもった人間たれ
「おれもこの人間精神上の作用を悟了して,いつもまず勝敗の念を度外に置き,虚心坦懐,事変に処した。それで小にして刺客,乱暴人の厄を免れ,大にして瓦解前後の難局に処して,綽々たる余裕をもった。これひっきょう,剣術と座禅の二道より得来たったたまものであった。」

・坐忘(ざぼう),忘れること
・無用意と根気
「なんでも大胆に,無用意に打ちかからなければならない。・・・世の中の人は,たいてい事業の成功するまでに,はや根気がつきて疲れてしまうから大事ができないのだ。」

・無神経の強さ
・仕事をあせるな
・党派をつくるな,子分をもつな
・要するに処世の秘訣は「誠」の一字だ

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幕末の人物としては,やはり勝が随一か。次は西郷を読もう。



経営の精神

5月9日(日)

ゴールデンウィーク明けの週で,比較的負担は少なかったはずだが,それなりにいろいろ仕事があった。ゼミの予定を考え,非常勤講師の手当に奔走,週末は神戸のMBAに参加。神戸のMBAは思った以上に勉強になっている。やはり,香川にいると,知らぬ間に低刺激の環境に慣れてしまうようだ。

加護野忠男「経営の精神」について,著者の講演会を聞く機会があった。副題は「我々が忘れてしまったものは何か」。経営の精神は,市民精神(勤勉さなど),企業精神(情熱,創造的破壊など),営利精神(合理性,数字へのこだわりなど)からなり,そのバランスが重要ということ。また,今の日本は,そのどれもが歪んでいる,とのメッセージは説得力がある。以下,気になった点,いろいろ。

・元気(企業精神)が不足している。
叱ることの大切さ
正論を吐け
・数値化すること。よい面,悪い面。
・内部統制制度は最悪。自発的な倫理観がなければ,経営はそもそも成り立たない。
・加護野先生は5Sにこだわる。
・経営者の本をもっと読むべき(稲森,永森),経営古典の知識(ウェーバー,ゾンバルト,チャンドラー)
・MBAのあり方:実務家を重用ししすぎる国の方針は誤り