メディア・バイアス

4月15日(金)

今期の授業は、火、水、木に詰め込んだ。なんとか、金曜日から月曜日までは研究に集中できる体制に。しかし、詰め込み過ぎの結果、金曜日は疲れがとれず、なんとなく体がだるい。今日の目標は、研究の頭にうまく切り換えることだな。

松永和紀「メディア・バイアス -あやしい健康情報とニセ科学」を読了。なぜ買ったかは覚えてない。ずいぶん前からあるはず。最近書棚で見つけて、授業に使えそうと思い、急遽読むことに。

内容は至ってまっとうで、好印象。メディアを通して科学的根拠に乏しい情報が報道される「メディア・バイアス」についての事例と解説。特に、なぜメディア・バイアスが生まれるのか、その分析が入っている点がよいと思う。テレビの場合は、視聴率至上主義。そして、番組制作委託先の待遇の悪さ。また原稿の場合には、フリーライターの待遇の悪さ。さらに、専門家と称する研究者のいい加減な態度と功名心。この辺りの問題が解決しなければ、この問題はなくならない。自分も研究者の端くれとして、心得ておかなければならない。

一方で、やや助長な感じはする。疑わしい情報が流れた事例が続きすぎる印象。逆に、真っ当に報道しているメディアが、どのように仕事をしているかについて、もう少し掘り下げて欲しかったな、とも思う。

ただ、このくらい平易な言葉で書いてくれれば、学生もよく理解できるだろうし、使いやすい本だと思う。学生にも推薦しよう。

遠く離れた場所で思う

4月11日(月)

東日本大震災から1ヶ月が経過。原発の状況は依然予断を許さないし、被災地の多くは、今もがれきに埋もれている様子。明るい知らせは多くない。各国から日本の政治の未熟さを批判され、悲しい。本当になんとかならないのかと思う。国民を元気づけるメッセージの1つもない。これが日本の政治の真の実力だとは思いたくないのだけれど・・・。人や党が違えば、もっとましだっただろうか?

しかし、1ヶ月経っても、被害の全容が把握できないような災害が日本で起こるとは・・・今でも、その事実に唖然とする。被災地の子供たち。お母さんの帰りを待ち、手紙を書く子供の姿。言葉が出ない。

先日、あるゼミ生OGが研究室に来てくれた。市内で働いているのだけれど、仕事を休んで、被災地にボランティアに出かけたという。涙を流しながら、当地の様子を語ってくれた。また、被災地を見て、自分がこれからどうやって生きていこうかと考え続けたという。

この震災で、仕事を休んで四国からボランティアに行こうと思った人は、どのくらいいたのだろうか・・・。私自身は、頭からその考えがなかった。もちろん、仕事は山積で、それどころではないこともあるし、家族もいるので、状況を考えると無理は無理なのだけれど・・・。何か恥ずかしい気持がした。それ以上に、若者の純粋な心に感動した。ほんと、偉いよ。

こういった学生をもっと育てなければ。そのためには、何が足りないのだろう。もっと真剣に考えなくてはならない。