physical checkup : a sequel

7月28日(水)

人間ドックのその後。診察結果の書類を受け取ると、各検査項目に問題なしを示す「1」が並ぶ中、唯一「6」の数字が。異常あり。説明を見ると、肝臓に「病変」の文字。病変、病変・・・病変って、かなり嫌な響きをもつ言葉ですね。正直、見た直後はちょっと動揺しました。

で、先日CTをとってもらい、本日その診断結果がわかりました。良性のもので、全く問題ないとのことでした。特に気をつけることもなく、そのまま解放されました。まずは一安心です。

しかし、この種の事実を突きつけられると、やはり家族のこと、将来のこと、今後の研究のこと、などなどいろいろを考えてしまいますね。それほど取り乱すことはなかったように思いますが、英語のヒアリングをやろうとして、なんとなくやる気をなくしたり。総じて言えば、よい経験にはなったと思いますが、・・・・当分なくていいですね。

健康投資、怠ることなくやりたいです。

ヨーロッパ思想入門

7月18日(日)

久しぶりの休日の大学。ちょっとさぼりすぎかもな,と思う今日この頃。行きがけに散髪に行こうと思ったのに,休みでした。日曜日が定休日なんて・・・無念。第3週は日曜日と月曜日が定休日。覚えておこう。

岩田靖夫「ヨーロッパ思想入門」岩波ジュニア文庫。またしてもジュニア文庫にやられました・・・。いつもながら高校生が読むとは全く思えない学術的な内容ながら,すばらしい完成度。私のような初心者にはうってつけです。特に,旧約聖書の部分から解説がある「ヘブライの信仰」のパートは,とても勉強になりました。

またロールズの議論には,これまで触れる機会がなかったのですが,本当に誠実感あふれる議論で,すばらしいなぁと思いました。

「このような歴史的状況において,異なる民族,異なる宗教,異なる文化の共存を可能にする原理は何か。それは一言で言えば,寛容である。寛容とは,自分とは異質のものを承認することだ。・・・異質なものを自分と同化しようとせずに,異質なままで受け入れることが寛容であり,それが異なる人々のあいだの平和共存を可能にする」


行人

7月16日(金)

もうすぐ前期も終わり。研究が全く進んでいないのが気がかり。夏,うまくシフトチェンジできるようにしないと・・・。

夏目漱石「行人」は,ちょっと前に読了。新聞での連載小説で,構成が途中で変化した様子。通して読んでみるとストーリーに必然性は感じられない。読み方が浅いのか・・・やや残念。最初から全体を構成できるのであれば,Hさんを最初から登場させるべきだろうな,と思った。しかし,兄・一郎への印象が前半と後半でがら,っと変わるのは見事。彼の精神的な苦悩の描写もすばらしい。嫂の記述から感じるそこはかとない色気も読みどころかも(小説全体にはあまり関係なくなってしまっているけど)。

アマゾンのレビューは,ちょっと偏っているような気もしますね。「彼岸過迄」を未読だからかもしれないですが。

ゼロから始める大学生の読書

7月15日(木)

ゼミ生のために,こんな資料をつくってみた。果たして何か効果があるかどうか・・・。

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ゼロから始める大学生の読書
-就活を前にためになる5冊-

日常的な読書習慣をつくるために夏休みを活用しよう,ということで以下の5冊の本を選びました。読者として想定したのは「読書習慣のない大学生」です。本を読むのに慣れない大学生がまずとっかかりとして読むためにおもしろいもの,そして,就職活動や今後の人生に役立つもの,という点を意識しました。今後の読書の参考になればと思います。

この本の推薦理由は1つだけ。「自分がいかに無知か」ということを深く自覚するためです。無知の自覚から自主的な読書はスタートしますから(ですので,そのことが分かれば,この本自体をすべて読む必要もありません)。また,本書の中に含まれる本のリストはその後の読書ガイドとしても有用です。同じ目的の本として,立花隆「ぼくはこんな本を読んできた」(文春文庫),立花隆「東大生はバカになったか」(文春文庫)もあります。

戦争を体験していない世代は「戦争」について知るべきことが多いわけですが,この本は,他にはない視点から「戦争」という現実を読者に提示してきます。そのメッセージは圧倒的です。「人間はここまでのことができるのか」,とまさに信じられない思いを抱かせます。文章も読みやすいですし,絶対に読むべき1冊です。

「人生に成功するかどうかを決めるのはEQ,すなわち,こころの知能指数だ」がメイン・メッセージです。単純ですが,説得力があります。EQはまさに社会人として要求されている能力で,それが何であるかを理解しておくことは,必ずためになります。IQと社会的な成功が必ずしも一致しない,という指摘にも勇気づけられます。

リチャード P. ファインマンは,ノーベル賞を受賞した天才物理学者で,「世界最高の頭脳」をもつと言われた人です。しかし,その人生はユーモアにあふれ,人を勇気づけてくれます。今回挙げた5冊の中では最も読んでいて楽しい本で,逆に教養的な知識はほとんど得られません。しかし,天才の人生観がどんなものであるか,という点が楽しく分かる,というのは非常にうれしいですし,何よりおもしろいです。今後の読書に勢いをつけるための1冊(2冊?)です。

なんとか経営学の本を1冊,と思った時に,今推薦できるのはこの本かなと思います。まず読んでいておもしろい。内容が斬新で,わかりやすく,かつ,説得力がある(ちょっと分厚いですけど)。日本の経営学を世界水準に押し上げる1冊になるかもしれない!とまで思っています。ポーターをはじめとしたこれまでの戦略論の復習にもなります。

<+αのあと5冊:知らない世界に触れるために>
→外務省,政治家,検察,外交問題,国策調査
→ヤクザ,全共闘,グリコ森永事件(キツネ目の男)
→料理人が国を支配する?SF的,空想的だけど,変におもしろい異色の小説。
→生物学,動的均衡,細胞学

日本機械工業の社会的分業構造

7月9日(金)

有給で休み。嫁が人間ドックに言っており不在。ほぼ1日中家に独りでいる。珍しい。

例年通りの忙しい7月である。観音寺の商店街とのコラボが毎年この頃になるからで,かれこれ10年目のおつきあいとなった。その間,商店街は衰退の一途であるが・・・。ただ昨日は,漆氏とお話して,なんとなく明るいイメージを持つこともできた。観音寺の商店街にとっては,今年がターニングポイントになってほしいなぁと思う。私にできることは最大限やろう。ただ,あまり張り切りすぎないように。

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直接研究に関わる本については,あまりここに書かないのだけど,ちょっと前にレビューした,渡辺幸男「日本機械工業の社会的分業構造」には,感銘を受けた。1997年の出版ながら,主体となる調査は70年代後半から80年代。その意味で「かつて」の工業集積の姿を描いており,現代はちょっと違う,というのは,その通りだと思う。

しかし,長期間の調査を1つに凝縮したような本の構成からは,この著者が東京の大田区を中心とする機械工業集積の調査に全力を傾け,それこそ一生涯をかけたのだろう,ということが見て取れる。見て歩き,聞いて考えた結果としての工業集積への深い理解が,この本の言われ得ぬ迫力につながっていると思う。

正直に言って,中小企業研究については,やや偏った印象をもっていたのであるが,こういった研究を目の当たりにすると,その研究蓄積にも目を向けざるを得ない。不勉強を恥じるのみである。また,1つの調査対象を生涯にわたって調査し続ける,という研究姿勢には,あこがれを感じるところもある。決して器用な感じはしないけれども,研究者の1つのモデルのような気がした。