大学生からの文章表現

3月11日(金)

最近の出来事。月初めに神戸でJanet先生と面会。初日は早い英語に圧倒されまくり。あれほど聞き取れないとは・・・。2日目はゆっくり話してもらい、なんとか無事こなす。ほっと一息。最近、あんな風に喜びをかみしめたことはないな。その後、大学で雑務をこなしつつ、6日には再び関西へ。Janet先生の講演を聴講した後、大阪で同窓会。こちらも楽しく過ごせる。OB/OGと楽しく過ごせるというのは、教員冥利につきる。幸せ。よい気分で台湾に向かう。2日目5時間にわたるインタビューはさすがに疲れたが、得るものも多く、大変勉強になる。台湾は2度目なので、市内は特に見るところもなく。大衆台湾料理は、おいしかった。意外とお酒を飲む場所を探すのに苦労した。台湾の人は、食事をしながらお酒を飲まないらしい。不思議。

というわけで、相変わらず論文を書く時間はなく、日は刻々と過ぎていく。焦るが、進まず。なんか学生の時みたいだなぁ。

出張の移動時間も、時々の雑務に追われ、あまり読書には時間を割けず。かろうじて読んだのが、黒田龍之介「大学生からの文章表現」という新書。著者は言語学が専門で、大学生に「読みやすくて楽しい」文書を書かせるための講義を再現し、ポイントを解説したもの。どちらかというと、教員側に向けられた本のようにも思える。

ポイントは「読みやすくて楽しい」文章を書かせるために、学生の「書く」という行為への堅い先入観を取り去ることのようだ。つまり、文書とは本来的に多様であり、書こうと思えば、いくらでも自由に楽しく書ける。その可能性を学生の前に提示してあげれば、学生は自然と人を楽しませる文章を書けるようになる・・・というもの。確かに、学生の文書は、楽しげで、読ませるものになっていく。例えば、本に挙がっている学生の文章の冒頭。テーマは「どうしてもやめられない私のクセ」。

「困ったときにアゴや鼻の下のあたりを指でこする習性がある。正確に答えると、こするというよりはむしろ当てるといった方が正しい。そうそう、そんな感じ。そんなにこすらないで・・・うん、あーだいぶ良くなってきた。」(p。93)

うちの学生もこんな文章を書ければいいよなぁ・・・そして私も。ポイントは内容が楽しいというよりも、文体や視点、オチが楽しい、ということかな、と思う。こういった「楽しい」文章は、経営学を学んできた私にとっては、考えたこともないものであり、本はとても新鮮に読むことができた。

他方で、読んでいて楽しい文章は、ブログにはいいけれど、やっぱり学術的な文章として書くと価値を損なうわけで、そこがやや悩むところである。うちの学生にこんな文章を書くトレーニングをさせると、文書嫌いは直るかもしれないが、卒論を書く時には別の書き方を仕込まないといけない・・・ということになる。卒論で、急に語りかけるような文章になっても、困るのは困る。

というわけで、おもしろく、新鮮ではあるが、大学教員としてこの本をどう使うか、というのは、課題として残った。でもいい本だなと思う。



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